剣道に対して対照的に向き合う香織と早苗の物語

誉田哲也の同名ベストセラー青春小説を、成海璃子、北乃きいのダブル主演で映画化!

監督は古厩智之

師範である厳格な父(小木茂光)による英才教育の下、兄の和晴(石黒英雄)とともに、若干3歳から剣道一筋の生き方を叩き込まれてきた中学生王者の磯山香織(成海璃子)。向かうところ敵無しの香織だったが、中学生最後となる大会の個人戦で、同学年の無名剣士の不思議な足捌きに幻惑されてしまい、よもやの敗戦を喫してしまう。ゼッケンには「東松学園 甲本」とあった。

敗戦を忘れられない香織は、その半年後、彼女を追って剣道の名門校である東松学園女子高等部の剣道部に入部し、遂に甲本早苗(北乃きい)と再会を果たす。両親が離婚した関係で苗字が西荻に変わっていた早苗は、中学時代に無敵を誇った香織に勝っておきながら、そのことを全く覚えていない。香織は捲土重来を期して勝負を挑むが、早苗は腰が引けた状態でただ逃げ惑うばかり。香織はライバルのあまりの不甲斐なさに拍子抜けしてしまうのだった。

日を重ねるごとに二人は互いの剣道に向かう姿勢が大きく違うことに驚く。剣道は勝ち負けに拘るのではなく、楽しむことをモットーとしてきた早苗。その背景には、珍発明に明け暮れる科学者の父親(板尾創路)が裁判で敗れたため、それまでの暮らしが一変したという苦い経験があり、勝ち負けから距離を置いて生きていきたいのだ。

そんな早苗にとって、「負け=死」とストイックに捉え、勝つことを最優先して剣道に臨む香織の生き方は到底、理解しがたい。持ち前のパワー、スピードで上級生を容赦なく撃破したり、休み時間ともなると片手に鉄アレイ、もう片手に宮本武蔵の「五輪書」を友として、勝負の世界に没頭する香織は周りの部員からも煙たがられており、孤立した存在になっていた。

だが、何もかもが対照的なために、かえって香織に興味を抱くようになった早苗は、剣道の修行の一環と称して、ゲームセンターやケーキバイキングなどに香織を誘いなんとか打ち解けようとする。

やがてインターハイの関東地区予選に向けて、香織は1年生ながら先鋒に選抜され、早苗もなんとか補欠に選ばれた。大会当日、東松学園は香織の活躍もあって準決勝へと駒を進めるが、他の部員の試合運びに満足できない香織は、早苗の本当の実力を引き出すため、そして東松学園をインターハイ優勝へと導くため、早苗を父の道場へ誘おうとする。

しかし、勝負への過剰な拘りは自分の主義に反する早苗がこれを拒否したために、口論へと発展してしまい、ちょっとした拍子に香織は階段から転げ落ちて左腕に怪我をしてしまう。怪我の痛みを隠して、準決勝に臨んだ香織は辛勝するが、その無理がたたって試合直後にダウンしてしまう。

香織の代わりに誰を決勝戦に出場させるかが問題となるが、香織は顧問の小柴隆造(堀部圭亮)、早苗は本気になれさえすれば強いのだから代役は彼女にして欲しいと頼み込む。彼女の気持ちに押された小柴は主将の村浜ゆかり(高木古都)に確認したうえで、早苗の出場を決定する。

そして迎えた決勝戦、先鋒で出場した早苗は日本舞踊で鍛えた得意の足捌きで必死に相手の攻撃を躱しながら、チャンスを待つ。そして起死回生に放ったメンが決まり、早苗は勝利を収めた。彼女の活躍で勢いに乗った東松学園は他の選手も勝ち、遂にインターハイの出場権を手にすることができた。

インターハイまで1ヶ月と迫るなか、香織は怪我が治ったにも関わらず、先の予選以降、部活だけでなく、道場での稽古にも参加しないようになってしまう。インターハイ予選の決勝で早苗が放った無心のメンを見て以降、武道は勝負だけでないことを知り、戦う理由を見出せずに苦しんでいたのだ。一方、レギュラーを外された香織の代役として早苗が先鋒に加えられた早苗だったが、真剣勝負の醍醐味にも魅せられながらも、今度は負けることへの恐怖が付いて回るようになり、これまでのように無心で剣道に臨むことができなくなっていた。

何のために自分は剣道を続けているのか、勝敗にこだわるのは何故なのか―。答えを見つけようと暗中模索する香織と早苗。そんななか、別れた早苗の両親の再婚が決まり、転校の話が持ち上がる。そして、決着をつけるため、早苗は香織に果たし状を突きつける!そして迎えた決戦の日。武蔵と小次郎の決闘の場である巌流島を髣髴とさせる小高い丘で待つ早苗。はたして香織は現れるのか?

予告編・キャスティング

皆が竹刀を振るなか木刀を持ち、ストイックなまでに剣道に向き合う硬派な女子高生・香織を演じるのは若手女優のなかでもトップクラスの演技力が高い評価を受けている成海璃子。「剛」の香織に対して、屈託のない笑顔とその天然ぶりで香織を翻弄する「柔」の早苗役には北乃きいを起用。本作品における香織と早苗のキャラクター同様に、個性の違う実力派の二人が互いにどんな演技を引き出しあったのかも見所の一つ。

山下リオ、荒井萌、高木古都ほか、ドラマやCMでブレイク間違いなしの若さ溢れる新進女優たちも青春ドラマに輝きを添えている。そのほか、幼くして母を失った香織のよき相談相手となる兄の和晴役を演じる石黒英雄、娘の成長を影から見守るそれぞれの父親役を小木茂光、板尾創路、剣道部顧問の堀部圭亮ら個性派の面々の演技も注目だ。

原作はスポーツをテーマにした青春小説だけでなく、女性警部補の活躍を描きドラマ化(ストロベリーナイト)もされた「姫川玲子」シリーズ、歴史的事件を舞台にした「帝の毒薬」、そのほか伝奇・ホラーなど幅広い分野でベストセラーを連発している誉田哲也の同名小説。続編には「武士道セブンティーン」「武士道エイティーン」がある。メガホンを握るのは「ロボコン」「ホームレス中学生」など、現代の若者を等身大に切り取った青春映画でヒットを重ねてきた古厩智之。本作では、揺れ動く香織と早苗の関係をユーモアを交えて描きながらも、大胆かつ繊細に剣道の魅力を表現している。

―コンテンツー
剣道の間合い…剣道の試合を有利に進めるためには、間合いを知り、相手との距離感を意識的にコントロールすることが大切です。自分の「一足一刀の間合い」を基準として、「近い間合い」、「遠い間合い」を体得しましょう。